-- 天体の三色画像合成 --



◯解析手順

(1)一次処理

検出器のノイズや感度ムラの補正を行う。

1。ダーク引き

 観測して得られた画像にはカメラ(検出器)起因の電気的なノイズが加算される(暗電流ノイズ=ダークノイズ)。このノイズを取り除くためにカメラを冷却するが、それでもノイズを取り除ききることができないため、シャッターを閉じてダークノイズのみ観測する。こうして得られたダークフレームを生画像から引き、このノイズを取り除く。

2。フラット補正

 カメラ(検出器)の素子にはそれぞれに感度の違いがある。100の光が入った時に100と認識する素子もあれば99や101と認識する素子もある。そのため、各素子間に生じる感度ムラを測定し補正する必要があり、一様な光源の観測を行う。得られた一様光源画像(フラットフレーム)でオブジェクト画像を割ることでこの感度ムラを補正することができる。


(2)バンド毎の重ね合わせ

 露出時間を長くすると、S/N(ノイズに対するシグナルの割合)があがる。しかし、露出時間を長くすると、天候が変動したり、素子がサチュレーションを起こしたりする。そこで、短い露出時間での観測を行い、その画像を重ね合わせてS/Nをあげる。⇒画像の精度をあげる。

・画像の移動をして重ねる

 撮像観測は複数のバンドで複数枚ずつ行う。望遠鏡は天体の日周運動に合わせて追尾するが、時間が経過すると追尾にズレが生じる。したがって、各画像ごとに天体の位置がわずかにズレているため、画像を重ね合わせる際に、ズレを求め、画像の原点位置を合わせて、重ねる。


(3)三色合成

 観測した各波長ごとの画像に色をつける。波長が長いものから赤、緑、青と疑似色をつけ、3つの波長で得られた画像を合成する。


★解析について詳しいことはこちらをご覧ください。



-- ds9インストール --

(1) DS9の最新バージョン(for Windows7/Vista/XP)をダウンロード。 2013/11/7時点では DS9 Version7.2 が Winでは新しい。
 
SAOimage DS9
 
(2)DS9 で画像合成。
1。Frame --> New Frame RGB をクリック。
2。R, G, B それぞれのところで File -> Open 保存したファイルについて、
波長の長いものをRに割り当て、間のものをGに、短いものをBにわりあてる。
各バンドの透過波長域は、B=0.44μm, V=0.55μm, R=0.66μm, I=0.8μm, z=0.9μm
3。それぞれのフレームで zoom --> to fit。scale で、linear, log, power などかえてみる。

美しい天体画像を作ってください.Let's try.


(3) Simbad を使うと、天体の座標や明るさなどの情報を知ることができる.
SkyView では天体の多波長画像データ(X線から電波まで)を検索できる.
 
SkyView & Simbad